ドイツの自動車産業で、人員削減の嵐が吹き荒れている。電気自動車(EV)の販売不振やコスト競争力の低下が背景にある。最大手のフォルクスワーゲン(VW)も、会社設立以来初となるドイツ国内の工場閉鎖を排除していない。労組側は大規模な人員削減に警戒を強め、12月にも大規模ストライキに踏み切る考えだ。
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独自動車部品大手ボッシュは22日、「自動車業界はかなりの過剰生産能力を抱えている」と表明。2032年までに世界で最大5500人の人員削減に踏み切る計画を明らかにした。電子システムやEV部品を手がける部門などが対象だ。うち3800人がドイツ国内の従業員で、競争力強化のため人員調整が必要と説明した。
同業の独ZFも7月、28年末までにドイツで最大1万4千人を削減すると発表するなど、大型リストラが目立つ。
欧州では新車販売が落ち込んでいる。物価高の影響などもあり、欧州連合(EU)域内の新車販売台数はコロナ禍前の19年より2割ほど少ないまま。各社が販売増を見込んで投資してきたEVの落ち込みも誤算だった。ドイツが昨年末に購入補助金を打ち切るなどし、EUでの今年1~9月のEV販売台数は前年比5.8%減だった。
コスト高にも悩む。ロシアのウクライナ侵攻で安価なロシア産の天然ガスに頼れず、エネルギー高に見舞われた。インフレによる人件費増も重荷で、中国勢のEVとのコスト競争も厳しい。
労組、VWの工場閉鎖回避策を提案
今後の焦点は、ドイツで30…